はじめての大回り乗車2017

2017年12月9日土曜日

小旅行

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北海道の記事を書いている途中ですが、急に大回り乗車がしたくなり、大回り乗車をしてきたので、大回り乗車した時の事を書きます。

大回り乗車とは何ぞや


大回り乗車とは、簡単に言うと、ある駅からある駅までの切符を購入した場合、その経路については自由であるので、それを利用して安く長旅をしちゃおうという、鉄道旅行のテクニックである。

環状線である山手線を例に取ろう。
品川駅から隣の大崎駅へ行くのに、普通であれば一駅、たった数分乗っていれば到着する。
しかしこれを反対方向に、ぐるりと山手線を一周して、一時間かけて行ったっていいのである。

一体誰がそんなことを好きこのんでやるのか、と思う人もいるだろうが、これが結構いるらしい。
実際に自分もやりたくなってしまったのだから、病気である。

大回り乗車のルール等については、詳しく述べているサイトが無数にあるので、ぜひ「大回り乗車」で検索してみて欲しい。
深淵を覗きたい人は「年越し最長大回り」 で検索だ。これはマジでやばかった。

というわけで、いささか乱暴だが、大回り乗車のことがなんとなく理解できている体で話をすすめる。

旅程


大回りガチ勢は始発から終電まで20時間くらい乗車するらしいが、なにぶん自分はこういうの初めてだし、何より本当に面白いのか半信半疑なので、そこそこのルートを組んでみた。
以下は首都圏でJRを利用したことがある人なら、車内で一度は目にしたことがあるであろう、「路線ネットワーク」である。
この左下の方にある、「茅ヶ崎駅」から「辻堂駅」まで、普通に行けば4分。
これを大回り乗車すると、こうなる。

茅ヶ崎1046-1144橋本1149-1200八王子1218-1255高麗川1303-1427高崎1435-1623小山1627-1739友部1751-1934上野1947-2049辻堂

所要時間603分、運賃190円。
朝はそこそこ遅く、帰りもそれほど遅いわけではない。乗り継ぎもスムーズである。
たった一日で一都六県を巡る、立派な大旅行だ。
どうですか?ワクワクしてきませんか?して来ないですか?そうですか。

ちなみに定番のコースだと、我孫子あたりから外房線・内房線で房総半島をぐるーっと一周して東京に帰ってきて、おまけに鶴見線まで経由してくるらしい。
房総半島一周は鉄道でも原付でも一度やっているし、それをルートに組み込んじゃうともう本当に疲れ果ててしまうので、さすがにやめた。一瞬考えたけど。

というわけで、さっそく出発。

相模線


まずは茅ヶ崎駅で切符を購入する。
注意したいのは、Suicaなど交通系ICカードでは大回り乗車できないということだ。
自動改札機では、普通に考えたらありえないほど時間がかかる記録に対しては、エラーを吐いてしまうからだ。
もちろん切符も同様なのだが、車掌の改札に引っかかった場合に説明がしやすいし、旅を終えるときにも「大回りです」と言って有人改札に通せば、それで済む。
とにかく、大回り乗車では通常の切符というのが常識なのである。らしい。
最近流行ってる某ブログに対抗して、駅メモのスクショも貼っておく。
俺は一年以上前からやってるからな!
相模線は神奈川の県央部を縦断するJR路線。
このへんでは珍しく、単線である。
しかも車両は半自動ドア、いわゆるボタン式だ。最近は湘南新宿ラインや上野東京ラインのおかげで、都市部でもその存在「だけ」は知っている人が増えたのではないだろうか?
たまーに、ドアの前で怪訝な顔をして立ち止まっていたり、開いてるドアを探してホームを疾走する人を見ることが出来る。
ちなみに、乗った後もきっちり閉ボタンを押すのがマナー。
夏や冬は空調がきいているため、これを放置していると嫌な顔をする客が多いのだ。
それだけならまだしも、舌打ちをしながらボタンを閉めるオッサンもおり、これはこれで気分は悪いが、申し訳ないことをしたという気持ちにもなるというものだ。

そう思うと、よくもまあ首都圏の大多数はあんな開けっ放しで平気な顔をしているなと思う。
こればっかりは慣れなんだろうけど…。

一人での大回り乗車は結構ひまなので、読書に勤しむことになる。
なので、車窓を眺めてどうだった、とかいう感想は特にない。
強いていうならば、乗り換えも何もないはずの上溝駅がやたらデカく、人の乗り降りも激しかったことに驚いた。
後でわかったことだが、ここはかつて相模原の中心地だったらしく、各施設が充実しており、住人も相当数いるということだった。
ただ漫然と電車に乗っているだけでもこういうことが分かるのだから、結構面白いもんである。

横浜線


橋本駅に到着。
ここはまだ神奈川県、相模原市である。
一応、八王子まで直通している相模線もあるにはあるのだが、本数が少ない。
乗り換えに一手間かかるが、横浜線は頻繁に運行しているので、ダイヤを気にする必要はあまりない。
 橋本から八王子までは10分程度。

川越線


八王子駅に到着。
これでようやく東京都入りだ。
ここからは一番線で川越線に乗る。
八高線と言いつつ、ここから出る列車に高麗川行きは少なく、川越行きの川越線である事が多い。
乗り換えで一瞬戸惑ってしまったが、 1番線でほぼ間違いない。
大回り乗車で気をつけたいのが食事である。
基本的に改札から外に出ることは出来ないため、構内で済ませる必要がある。
今回は特に下調べをせずに来てしまった上、乗り継ぎ時間も短いので、こういう場所で適宜燃料を補給していく必要がある。
座っているだけとは言っても、結構体力を使うのだ。

というわけでパネストのレーズンクリームサンドを買った。
ニューデイズのパンでイチオシ。
 このあたりから乗車間隔が長くなってくる。
空席には容赦なく座らなければならない。
川越線が来た。
もうここまで来ると普段見ることのない車両に出会える。
こういう時に「遠くまで来たなあ」と実感する。

拝島駅を過ぎた頃から、田舎特有の「駅前に一軒家」という光景が広がってくる。
高い建物もなくなり、 車窓からは荒涼とした荒野が臨むことが出来る。
あと北八王子からでかいアムウェイの倉庫が見える。

八高線 

高麗川駅で乗り換え。
ここが埼玉県だということを初めて知った。
 終着駅ではないので、ここで降り忘れると川越まで行ってしまう。
まあそれはそれで違うルートの大回りが出来ると言えば出来るので、そんなに焦ることもないが。
 ここらへんの駅では珍しく、地下道を通って乗り換えする。
き、気動車だー!
まさかこんなところから非電化路線が始まっているとは思わなかった。
知らない人のために簡単に説明すると、一般的な首都圏の鉄道は電気で動いているのに対して、田舎の方に行くと自動車と同じくエンジンで駆動する気動車が稼働しているのだ。

なので、地方に行くと「電車」ではなく、みんな「汽車」と呼んでいる。実際に電動ではないからである。
このブログでも、そのへんの表記には一応気をつけている。
たまに「どうせウチは電化してねえよ!田舎で悪かったな!」と噛み付いてくる人間がいるので(実際にやられた)。
車両はうぐいす色。
山形の方でも似たものを見たが、あちらのほうが新型車両を使っていた気がする。

二両編成なので、席には少々余裕がない。
しかし、このへんから車両にトイレが付いてくるので、気持ちの余裕は出てくる。

両毛線


高崎駅に到着。
群馬県入りである。
ここは湘南新宿ラインの行き先でもよく見るので、なんとなく馴染み深い。
 発車案内を見ると「小田原」「国府津」の文字があり、「ああ、これに乗れば一本で帰れるのに…」と、自分から望んで大回り乗車をしたのにも関わらず、心が帰宅に傾いていることに気付いてしまった。
実際、大回り乗車は一人でやるのは結構キツイかもしれない。
誰か付き合って下さい。
と、ホームにこんな店を発見。
多分、こういうのって大回りプロには常識なんだろうけど、すっかり見落としていたよなあ。
パンやおにぎりでもいいんだけど、やっぱりこういう食事を取らないと心身に来る。
そしてここでの乗り換え時間は8分しかないという…
ここでも下りる駅と終着駅が違うので戸惑ってしまったが、宇都宮行きで合ってる。
しかしここまで来ると地名に馴染みがないから、感覚を頼りにすると危ないなあ。
おっと懐かしい車両が。
90年代の東海道線ではこの車両が「新型」だった記憶がある。
今はもうあのカボチャみたいな115系も見なくなっちゃったね。
とりあえず撮ったけど、実はあんまり詳しくない。
たぶん何の変哲もない平凡な車両…だと思う。

途中、下校時刻と重なったのだろう、足利駅から大量に学生が乗ってくる。
たぶん足利高校だ。
女子高生が結構なまってて、良い。良さみストリート。

秒速5センチメートルに登場した岩舟駅も通過したが、わりと何の変哲もなかった。

水戸線

小山駅での乗り換え時間は4分しかない。
学生の群れも移動の邪魔をする。
急げ。
悲しいかな、時間がない時に限って、乗り換えの動線に店舗が充実している。
実はこの時、読書用に持ってきた本もほとんど読み終わってしまったので、本の補給がしたかったのだが…
もし次があるなら、ここでの時間を多めにとっても良いかもしれない。
もう発車ベルが鳴っていたが、とりあえず一枚撮影。
水戸線は完全に初めてである。
なぜかは分からないが、車両に青系のイメージがあったので、予感が当たっておりなんとなく安心した。
常磐線のせいかな?
ちなみにswarmでのチェックインも同時に行っていたのだが、コメントがあまりに自分の心理を突いていてグッと来てしまった。
二度目になるが、望んでここまで来たのに本当に帰りたくて仕方がない。
ちなみに水戸線だが、一番手前の車両に乗ろうとしたところ、入り口にヤンキーが溜まっていたので怖くて乗れず隣のドアに、という事を4回ほど繰り返したので危うく逃すところだった。
だいたいどの車両もツッパった若者が乗っており、あぁこれが北関東か…と実感した。
実際、一番平穏そうだと感じた車両でさえ、金髪ジャージピアスの高校生二人組が地べたに座っていたのだから、他の車両は推して知るべしである。

もうこの時間ともなると外は暗く、車窓からの眺めを楽しむことは不可能になる。
本も読み終わってしまい、スマホもモバイルバッテリーから給電しながらの稼働。
いよいよ厳しくなってきた。

常磐線

友部駅に到着。
ちょうどこの時、知り合いから「今どのへんにいるの?」とLINEが来たので、上の写真を送ったところ「だからどこだよ」と言われてしまった。俺も分からん。
水戸のちょっと手前らしい。
 全く聞いたことのない駅だが、それなりにでかく、こういう認識のギャップは旅のスパイスとして少し興奮するところだ。
上野行きの電車がやってくる。
行先表示に上野と表示されているだけで、なんだか救われた気持ちになる。
そして柏、松戸、北千住…と、別に千葉県に縁もゆかりもない自分だが、なんとなく場所がわかる地名を耳にするだけで安心してくるのだ。

東海道線直通上野東京ライン

ついに上野駅まで戻ってきた。安堵のひとときである。
いや戻ってはいないが、なんというか、自分の守備範囲と言うか、今日通ってきた場所に比べたら日暮里上野俺の庭という感じがして、落ち着く。
今日は朝からパンしか食べていないので、エネルギーこそ消費していないが、なんだか精神衛生上よくない。
温かくて、箸とかスプーンとかを使うメシが食いたい…
当然、上野駅は今までになく駅構内が充実している。
選り取りみどりである。
どうしようか5分ほど逡巡したが、結構いい値段がするもので、断腸の思いでもう少し我慢して、お気に入りの地元のラーメン屋で締めくくることに決めた。
今度こそ乗って良いんだな!国府津行き!
いいな!乗るぞ!

大回り乗車

辻堂駅に到着。
長い旅の終着点である。
ちなみに大回り乗車では、「隣の駅までの切符」を買わなければいけないので、例えば新宿駅から乗って新宿駅で下りることは出来ない。
そこは行きか帰りのどちらかで調整する必要がある。
 で、だいたい帰りは疲れ果てているので行きにやってしまうのがよろしい。
 終わってみれば、ちょうど帰宅ラッシュの時刻ではあったが、一度も立つことなく乗れたのは良かった。
これだけの時間、もし座れなかったら体力も気力も持って行かれてしまっただろう。
もし通過する駅全てが未踏駅(赤新駅)だと仮定したら、この大回り一発でレベル1のでんこがだいたいレベル30くらいにはなる。
ねこぱんちを使い忘れていたのが唯一の誤算だが。

ちなみにこれだけやっても取得の現状はこんな感じ。
結構北関東も駅あるんですねえ…

おしまい

反省会と余談

まず準備段階の話。

とりあえず時刻表が無いことには話が始まらない。
だいたいのルートを路線図で組んだら、次は行程組みの軸となる路線を決める。

大回り乗車にかぎらずこれは普段の旅でも同じだが、本数が少ない路線がだいたい計画の鍵となる。
今回の場合、両毛線が90分に1本の間隔だったので、そこで乗りそうな列車をピックアップして、両脇の時刻を埋めていく。
すると待ち時間がやたら長かったりと、接続の悪いものが出てくるので、カットしていく。

反省会。

上記の通り、今回は結果的にかなり乗り継ぎのスムーズな行程が組めたが、まぁこれもこれでどうなのって感じで、結構せわしなかったので、考えものである。
実際高崎駅の立ち食いそばや、小山駅の本屋など、有効に使えそうなポイントでは休憩時間として、長めの乗り継ぎを想定しても良かったかもしれない。
まあこれは初めてだったから仕方がないということで。

あと暇つぶしに小説の二冊くらいは持っていけばよかった。
というか、本当は人間がいればもっと良かった。
一人旅でこういうのは慣れていたつもりだったが、別に観光とかをするわけじゃないので、虚無感がそこそこある。
長時間知らない人間に囲まれるというのも、まぁまぁストレスなのかもしれない。

冬場は暖房がわりとガンガンにかかっているので、寒さ対策はそこそこで良いと思う。むしろ暑かった。
体温調節、トイレ、水分、養分、このへんは日常生活でも当然のことだが、ある程度気をつかったほうが良い。

えー、総括ですが…

今回の大回り乗車は全体として…うーん…
楽しかった…?のか…?

ちょっとよくわかんないです…



とりあえず、いい経験になったということで。

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